まひるま。

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成年ってなんだろうね

ハライチの岩井さんがご結婚されました。

 

彼が37歳でお相手の女性が19歳。

相手が成人したなので、SNS上では「ほぼ未成年に手を出した」等々の批判が散見されます。

お二人が初めて会ったのが31歳と13歳のときだそうで、余計にそういう想像が想起されるのでしょう。

 

恐らく岩井さんも、社会的な立場から躊躇うところはあったと思いますが、特に法に触れているということもなく、何よりお二人とも立派な「成人」ですので、二人が幸せならそれでいいじゃないかというのが、思うところです。

 

では、なぜ叩かれるのでしょう。

 

思い当たるところをそぞろに書いていきます。

 

まず、社会規範として「未成年に手を出してはならない」と人々が共有している中、その規範に対する違反を推察させるような出来事が生じたため、反応して加罰的なシステムが作動した、というのが最も直接的な理由でしょう。

 

我々の社会では「未成年」を、判断力や責任を負う能力等々が未熟で、社会の庇護下にあるべき存在としています。

その性は、その尊厳に直結するものですから、未成年に対する淫行は許されないものであり、これを厳しく処罰します。もちろん、未成年の肉体的な健康を保護する目的もあるでしょう。

 

様々な理由から、「未成年」を保護する対象とし、そのための様々な規定や規範を設け、これに反するものを厳しく罰するという構造自体は、健全な社会の作用であって、今回の婚姻に対し批判が見られることは、当然の流れと言えるかもしれません。

 

ただし今回は、「成人」どうしの婚姻であり、「未成年者の権利の侵害を推知させる」という理由だけでこれほどのバッシングが出るのは、まだ少し納得がいきません。

 

とすると他に考えうるのは、「成年年齢引き下げに対する違和感」です。成年年齢が20歳から18歳に引き下げられてから、それほど時間が経っていない。19歳がまだ「未成年」であった時代のほうが殆どの人の人生において長いので、社会規範がまだ変わりきっていない、というものです。

あるいは、社会のコンセンサスが得られないまま引き下げられた、というのもあるでしょうか。

いずれにしろ、19歳はまだ未熟、という認識が根強いように思います。

 

これだけでも十分と思われるでしょうか。

まだ、今回の婚姻に抵抗感を持たせる要因があります。

 

こういうバッシングが起こるたびに、「男女が逆だったらどうだろうか」ということを考えてしまいます。

37歳の女性と19歳の男性の婚姻なら、ここまで叩かれてはいないだろうと。

 

すなわち日本社会に根深い女性差別の問題が、この根底にもあるような気がします。

 

歴史的に見て、長らく男性が女性を支配し、その権利を軽視してきたわけで、時代が変われどその悪習は残り、例えば痴漢という現象にもこれを見ることができるでしょう。

 

性的な問題は、男性が加害者で女性が被害者である、というステレオタイプが醸成されているために、そして実際の問題の件数の比率をみてもそうであるために、多くの女性がある種防衛本能的に今回の件に抵抗感を持ったのではないかと思います。

 

 

さて、「成年」とは何なんでしょうか。

 

今回の結婚した二人は当然「成年」を迎えています。

十分な判断力がある人同士なので、その婚姻は受け入れられてしかるべきでしょう。

 

ん?

 

お気づきかもしれませんが、「成人」だから「判断力」がある、とは必ずしも言えません。

18歳になった瞬間に急に責任能力カンストする、そんなわけ無いですよね。18歳より前から大人びた人もいれば、いくつになっても子どもみたいな人もいると。

 

私達は便宜上、「18歳になったら自立した大人になる」と擬制しているのであって、実質がそうかは疑問にしていません。そのために今回のような騒動が起こるのでしょう。

 

かと言って、「18歳未満だけど自立してるとみなせるので、同意があれば手を出しても構わない」ともなりません。

 

社会規範と法律、形式と実質の、難しい関係に、私達は直面していることになります。

 

 

今回の炎上については、「他人の恋路に口を出すな」と思う反面、「批判が起こるのは社会が健全な証拠では」とも思いました。

 

二人の人格や名誉を毀損するような投稿は許されませんが、これをきっかけに性犯罪を筆頭としたいくつかの社会問題が提起され、周知され、議論されてほしいと思います。

 

以上